≪群集心理≫とは…「同調する力」とその危うさ
おはようございます。
21世紀に入って社会活動や経済は、
点から線に、
線から面に、
そして、面から「立体」になってきています。
今までと、物事のスピードが圧倒的に違い、
あらゆるものが瞬時に、世界を駆け巡るようになりました。
だからパンデミックも起こりやすのかもしれません。
今日は＜群集心理＞について
書いてみようと思います。
『赤信号みんなで渡ればこわくない』という言葉がありますが、
［群集心理］とは
『単独の個人である時には、考えられないような過激な判断を、
群れると、やすやすと導いてしまう心理』
のことをいいます。
これは≪人間≫を知るうえで、
非常に重要な分野だと思います。
なぜなら
いかに「群衆が凡庸な判断を下してしまいやすいか」を理解し、
自分や他人の行動が、はたして妥当なものかを
肯定的に学んでいく ≪拠り所≫ になるからです。
基本的に、人は一人では生きていけないですし、
孤独になればどうしても、生き辛くなってしまいます。
そこで人は何らかの機会があって出会い、
ある組織（職場・地域・習い事）に所属したり、
同窓会・勉強会・飲み会をしたり、
LINEなどSNSをしたりして
つながっていき
それが集団になっていきます。
集団の大きな特性として、
それがどのような活動をする集団であれ、
≪個人の感情や観念≫ は 同一の方向 を向きやすく、
＜集団固有の特性＞をもっています。
いじめ、犯罪、暴動などは
「群集心理」が
強くネガティブに働くケースです。
どれだけ多くの人が ≪集団の圧力≫ で悩み苦しんでいるか、
どれほど蹂躙されているかは
世の中で、全く理解されていないことの一つかもしれません。
「圧力を加え得る側」の観点で考えてみますと、
組織、集団のなかで＜影響力＞ を持っている人間は、
〈ある種の権力〉を持っているので、
その組織内で、あるいは、
一般の人たちに＜特有の雰囲気＞を作る 力 を行使する場合があります。
それが 形のない概念・思い込み を形成させたりします。
いずれにしても、
人が集まり集団になると
〈権力の思惑〉も働きやすくなり、
ある固有の雰囲気が
知らぬ間に
出来上がっていきます。
まず「群衆心理」は、
多数の個人が、偶然 集まったからといって、
すぐに構成されるわけではありません。
心理的群衆となるには、何らかの刺激が必要です。
そして、
「群集心理」の研究で明らかになっていることは、
それを構成する個人の職業や地位、
あるいは知力などは一切関係なく、
その〈個人〉が《群衆》に なり変わり、
一種の集団精神をもつということです。
この「集団精神」の発生によって、
個人の感じ方、考え方、行動の仕方が、
集団に属する〈前〉と〈後〉で
まったく異なることになります。
ここが「群集心理」の恐ろしさです。
集団で〈ある思い込み〉を共有し、
レッテルを貼り、
その人間同士で 同調 するので、
＜思い込み＞は強化され続け、
異端児扱い、排斥、暴徒化、陰湿化、犯罪化が
助長されていくのです。
そして一番厄介なことは、
当人たちは＜罪の意識＞がなく、
むしろ「自分たちは正しい」と
〈歪んだ優越感〉に浸っていることもあります。
無自覚のまま、
無批判に群れていくところが
『群集心理』の恐ろしさです。
ではなぜ、
《群衆の一員である個人》と、
〈単独の個人〉は大きく異なってしまうのでしょうか？
それは
人間の持つ ≪無意識の領域≫ が
密接に関係していることが
研究で明らかになっています。
わたしたちが意識的にとる行為は、
ほとんど〈無意識〉から生じています。
普段、私たちが頭で考えている顕在意識レベルは
脳のわずか5～10％です。
9割以上が無意識 の領域です。
わたしたちの日常的な行動の大部分は、
自分さえも気づかない隠れた動機の［結果］です。
そして
どんなに卓越した「知能」を持っていたとしても、
喜怒哀楽や、好き嫌いなどの「感情」についての水準が
大幅に異なるということはほとんどないため、
個人が「支配」される無意識的要素は、
だいたいの人が同程度もっています。
ですから、
集団の性質（雰囲気）も
無意識に大きく支配されているということが、
群衆に共通する性質なのです。
付和雷同しやすい「集団的精神」をもった個人は、
善悪の判断や、良心の呵責を失いやすくなり、
無意識的性質（空気感）に支配されていきます。
つまり、ある意味で
群衆では、高度の知力が必要とされる行為を
遂行できないともいえます。
優秀な人物たちの会議で採決された結果が、
愚か者の会合で採決された結果よりも
優れているとは限りません。
なぜなら、優秀な人物たちの集まりであっても、
すべての人間が所有する〈凡庸な性質を結合〉
させるにすぎないからです。
このような人間の特性を
〈共通認識〉として根底にある集団は、
柔軟性があり、多様性があって、
発展性もあるでしょう。
しかし残念なことに、
「権威」におもねて、群れることで同調する
組織、集団がほとんどなのが「現実」だったりします。
だからこそ群衆になると、
個人ではできない卑怯卑劣な行為も
簡単にこなしてしまうのかもしれません。
●そうしたことが起こりやすくなる
『原因』は何なのでしょう？
主に「3つの要因」が考えられます。
原因①：責任観念が希薄になる。
群衆に属すことで、個人の責任観念が薄れ、
本能 のままの行為が引き起こされやすくなります。
原因②：群衆においては、感情や行為が感染しやすい。
原因③：群衆においては被暗示性が高まる。
3つ目は、最も着目すべき原因かもしれません。
この性質は、群衆心理に惑わされる個人を
「もはや自立した個人ではなく、
自分の意志をもって自分を制御できなくなった一箇の自動人形」
にしてしまうほど 強力な力 をもっています。
群衆は付和雷同するので、集団暗示にかかりやすいのです。
そして、理性の力が弱まり、激しい感情に活気づけられ、
批判精神にも欠けてくるので、
物事を極度に信じやすい性質をもちます。
ですから、群衆の感情は非常に早く伝播していきます。
さらに集団の中にいる個人は、
微妙なニュアンスを介さず、物事を大まかに見る傾向があります。
群衆の感情は 単純かつ誇張的 であるため、
その強さを増しながら、広がっていきます。
こうした＜群衆に特徴的な感染＞は勢いがあるので、
各個人に疑惑や、不確実の念を抱く余地を与えません。
簡単にいえば、
群衆心理は ＜責任観念が不足＞ に尽きます。
そのために、
〈単独でいる個人〉では考えられない過激な感情をもち、
行動することがあります。
ふだん〈単独でいる個人〉は、行為に伴う罰を恐れて、
本能に従わないことが多いのです。
しかし、
その個人が群衆（集団）のなかに 埋没 されると、
個人の「責任観念」が薄れ、
劣悪な破壊本能に従いやすくなってしまうのです。
「群衆心理」は非常に深刻なものですが、
同時に、非常に奥深いものを私たちに教えてくれます。
群衆が迷信するものは、
熟考すればたちまち消滅するような幼稚なものであったりしますが、
一方で、鮮やかで現実味を帯びています。
そして、最も真実らしくない事柄が、最も人の心を打ちます。
このために
群衆は「心象(イマージュ)」によって対象をとらえ、
刺激的で、執着心や強い感情を揺さぶられるものに、
大きく心を動かされます。
いい例で考えますと、
演劇の舞台は、
鮮やかな照明、衣装で、音響機器を駆使して
強い心象（感動）を与えてくれます。
悲劇的であったり誇張もありますが、
心を揺り動かす舞台は
古代ローマの時代から、市民に大きな影響を与えてきました。
舞台や映画、小説、
あるいは、刺激性の強いニュース（情報）によって
若干の奇異な事実を伴う事柄に対して、
＜群衆の想像力＞ は膨らんでいきます。
そういうふうに
惑わされたり、感化されるところに
人間の弱さがあり、
儚さや生きていく
難しさと奥深さがあるのだと思います。
最後に、
【群衆のなかでの「指導者」の役割】について。
常に、集団の中で「指導者」は重要な役割を演じています。
指導者の意志が 中軸 となり、群衆は統一されるからです。
しかしここで重要なことは、
往々にして
指導者は《思想家》ではなく
あくまで〈実行家〉であって、
間違った思想や、行き過ぎた行動を 正す ような人格や
明晰な頭脳の支える 人間性 を
必ずしも備えているとは限らないということです。
意図的なのか無意識的なのかは別にして、
指導者は
群衆（集団）に思想や信念をうえつける場合、
［断言］と［反復］と［感染］という用法を用います。
出来事の詳しい経緯や、
その時々の当事者の細やかな心証など
都合が悪いものは、どんどん省かれます。
〈簡潔な断言〉であればあるほど、
群衆の精神に浸透しやすいのです。
そして、断言はできるだけ「同じ言葉」でくりかえし
群衆に伝えられなければならないのです。
反復は、
テレビやネットの〈広告〉の効果を見ればわかるように、
人々に 強く作用します。
「断言」が十分にくりかえされて
全体の意見が一致したとき、
意見の流行が 形成 され、
集団への感染作用が働くのです。
感染は、
考え方や感じ方のみでなく、
行動をも変え
人の人生を
そして、世界そのものを
破壊するぐらい 強力 なものになり得ます。
…今はパンデミックで
新型コロナウイルスの感染が非常に懸念されています。
今日は、『群集心理』というパンデミックについて考えてみました。
今世界中で起こっていること、
メディアで報道されていること、
そしてその影響を受けていること、
いろんな意味で『群集心理』という観点で
物事を考えるということは
非常に有効なことかと感じます。
そして、≪集団心理≫というものに
悩み苦しんできた人、
今なお苦しんでいる人の
「個性」が尊重されて
いつの日か受け入れられて、
少しでも前向きな社会になればと願っております。
最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。
皆さまの健康と安全をお祈りしてます。
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