自己愛性人格障害の特徴と治療
…今日は「自己愛性人格障害」の特徴や治療のポイントについて書こうと思います。
今、生き辛さを抱えている人が増えています。
人は孤独で傷つきやすく、空虚感や自信のなさで埋め尽くされ、人と人のつながりも昔ほど確かなものではなくなっています。
自己愛性人格障害を含むパーソナリティの障害は、自らも苦しむと同時に、周囲を巻き込みやすいという特徴があります。
人格障害は決して特別な人たちの特別な症状ではなく、自分でも周囲にも気付かれずに、苦しみ悩んでいる人たちの中に多くある症状の一つです。
単なる個人の「性格」に留まらない、対人関係のパターンや生き方そのものとして現れてきます。
自己愛性人格障害に限らず、多くの人格障害の共通の特徴として、「自分への強いこだわりを持っている」ということがあげられます。
自覚しているかどうかは別にして、人格障害の人は、自分に囚われています。
それが、素晴らしい理想的な自分であれ、みすぼらしく劣等感にまみれた自分であれ、自分という強迫観念から逃げられないのです。
自分についてばかり語る人も、自分のことを決して人に打ち明けない人も、どちらも、自分へのこだわりという点では同じかもしれません。
もちろん、これは程度問題であって、どんな人でも無意識に自己への囚われはあります。それがプラスのものであれ、マイナスのものであれ。
そしてもう一つの特徴が、「とても傷つきやすい」ということがあります。
健康なパーソナリティの人には、何でもない一言や些細な素振りさえ、人格障害で苦しむ人を深く傷つけてしまうことがあります。
この2つの特徴は、現実の対人関係の中で、もう一つの重要な共通点となって現れます。
それは「対等で信頼し合った人間関係を築くことの障害」ともいわれています。
さらにそれは、愛すること、信じることの障害につながります。
根本に、自己愛の障害を抱えているからだと考えられます。
「自己愛の障害」といっても、目には見えるものではないし、本人にもなかなか自覚できないことに、治療の難しさがあります。
「自己愛」とは何でしょう。
簡単に言えば、自分を大切にできる能力のことです。
それは、人が生きていく上で、もっとも基本的な能力かもしれません。
人格障害の人は、傷つきやすい自己愛に由来する生き辛さの中で暮らしています。
それは自分への評価、対人関係、仕事、家庭、日々の生活、あらゆる場面で困難をもたらします。
生きようとする命の力と、抱えている生き辛さは、せめぎ合いながら、その人特有の適応パターンを織り成していきます。
自己愛性人格障害の人の特徴は、自分は特別な存在だと思っていて、それにふさわしい華やかな成功をいつも夢見ています。
特別な存在である自分に、他人は便宜を図ったり、賞賛して、特別扱いするのが当然と考えています。
そして、自己愛性人格障害の人にとっては、自分の身に受ける苦痛に対して、どんな些細なことも我慢が難しいのです。
少しの批判、意見の相違、感覚のズレが許せなかったり、痛みや空腹さえ激しい不機嫌の原因になったりします。
自己愛性人格障害の人は非常に高いプライドを持っていますが、実際、人並み外れた優れた才能や能力を有していることも多くあります。
ですから、社会的地位の高い人や高収入の人にも非常に多いのが自己愛性人格障害の特徴です。
しかし、この途方もない特権意識は、およそ現実とは釣り合わないほど肥大しているので、さまざまな支障をきたしてしまいます。
「自分は特別なんだ」という意識が、言動に現れ、傍若無人に振る舞ったり、自分の地位を悪用したりするケースもあります。
そして、自己愛性人格障害の人は、自分を賞賛してくれる取り巻きを求めます。
なぜなら、賞賛こそ彼らの栄養であり、活力源なのです。
その一方で、自己愛性人格障害の大きな特徴として、非難に弱いというのがあります。
あるいは、非難をまったく受けつけない。
ごく小さな過ちであれ、欠点を指摘されることは、すべてを否定されているように思えるのです。
このタイプの人は、強迫性人格障害の人と同様に、完璧主義者なのです。
ですから、自己愛性人格障害の人は、非難されると、耳を貸さずに怒り出します。
なかなか自分の非を受け入れようとはしません。
人に教えられたり、叱られたり、指摘されることは、彼の尊大なプライドが許さないのです。
そして、その過剰な自信とプライドとは裏腹に、現実生活において子どものように無能だったり、依存的であったりするのも自己愛性人格障害の特徴です。
そのアンバランスさが対人関係を悪くしたり、トラブルを引き起こすことがあります。何より当人にとって非常な大きな苦しみを負ってしまいます。
自己愛が強過ぎる余り、自己愛性人格障害の人にとって他者は、特別な存在である自分のために、何らかの奉仕をする人たちなのです。
他者の内面や存在の尊厳が省みられることは、ほとんどありません。
非情に冷酷で搾取的な精神構造が垣間見られます。それぐらい、心の中にトラウマや葛藤、コンプレックス、自己否定が強くあるのです。
有能で社会的地位が高かったり頭がよかったりもしますが、一見優雅ですらあるその心の底では、他人の気持ちに無関心で、乏しい共感性しか持っていません。
この肥大した自己愛の特徴の背景には、遺伝的要素もありますが、養育環境が大きな原因となっていると考えられています。
幼く万能感に満ちた「誇大自己」や「親の理想像」がその時期に、親によって適切に満たされなかったために、それが残存して歪んだ発達を遂げたと考えられます。
そして、自己否定による落ち込みや傷つきを避けるために、誇大ともいえる自信を振りかざす「自己愛型防衛」によって、堅く自分を守っているのです。凄まじい生き辛さがあります。
もちろんいろんなケースがあり、一概には言えないですが、幼少期の養育環境、その後の出会い、あらゆる経験は、さまざまな生き辛さの原因となります。
守られ過ぎても守らなさ過ぎても、幼い自我は傷ついてしまいます。
特に母親との親子の分離の時期にうまくそれが成し遂げられず、過剰な賞賛だけをもらったり、誰かと常に比較されたり、適切な愛情を注がれなかったりしているのが、自己愛性人格障害の特徴の背景にあります。
その結果、他者に対する共感性の欠如と同時に、防衛による自己正当化が強力なため、なかなか本当の意味での反省の念を抱きにくいのです。
自己愛性人格障害の人は、自分はあくまで正しいと思っているので、自分を省みることが非常に難しいのです。
逆に言えば、自分の人格、考え方、捉え方に対して、建設的に内省してみると、さまざまな歪みや思い込みがあることに気が付けます。
自己愛性人格障害の治療のポイントは、自分を狭めず、過去から学ぶことでしょう。
もっとも苦手な、謙虚に人の言葉や教えを聞くことができ、自らを素直に反省することができれば、自己愛性人格障害の人は、本来持っている高い能力を活かして、現実の中での成功だけではなく、心の平穏、精神的な豊かさを手に入れることができるでしょう。
そしてそのことが、人生の破綻から身を守ることにつながります。
時には耳の痛いことを言ってくれる人を大切にすることが、自己愛性人格障害の人が欠点を克服し、大成することにつながると考えられます。
自己愛性人格障害の人は、自分を絶対視するあまり、つい世界や視野が狭くなりがちです。
それは、せっかくの能力や才能を、埋もれさせたり、使われないままに錆びつかせてしまう原因となります。
このパーソナリティの人が、大きく変わって成長していくためには、人や他の世界から貪欲に学び続けることかもしれません。
つまらないと思っていることにも、実は学ぶべきことがたくさん秘められていることを、忘れてはいけません。
潜在意識の中にある幼少期の傷、過剰に押し付けられたもの、得られなかったものを一つ一つ癒していくことから治療は始まります。
「ありのままの自分」を受けれ、適切な自我を持つことが、自己愛性人格障害からの回復につながっていくでしょう。
ヒプノセラピー(催眠療法、インナーチャイルド療法、前世療法)でより多くの癒しや気付きををと願っております。
最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。
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